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『その女アレックス』

もともとのタイトルは『ALEX』という、本当に名前だけのタイトルの小説でございます。


背表紙の青い文春文庫のこの本は、今は書店に平積みになっていて『6冠!』とか書かれた赤い帯が非常に目立っているので、すぐにお手にとれると思います。

『ダロウェイ夫人』のように次々と入れ替わる登場人物の心象描写が、とっても自然で軽やかで、血の通った生々しさと温かさがあり三人称感の冷たさが全く無く、特に、その女であるアレックスの嬉しさ悲しさが猛烈に心に響き、読み終わった後の喪失感が凄いだろうと覚悟を決めて読んでいたのに、最後のエピソードの甘いかわいらしいデザートぶりも半端なく、とにかく、読中読後どちらもこの上なく満足させられてしまう恐ろしい物語でした。

しかも、ミステリーなのに、読み終わった後すぐにまたもう一度読みたいと思わせるって、どういうことだ。

この物語の主人公は、カミーユというめちゃ背の低い警察機関の男性で、猫と二人暮らしをしておりその猫の名前がドゥドゥーシュっていうの。

フランスの猫の名前、可愛いなー。

「ドゥドゥーシュは本当に優しい猫で、猫なりにできることを全てしてくれているのだが」
というくだりがあるのですが、猫って本当にそういう生き物よねえ、と以前は思わなかったであろう事を思ったりしました。
ねこはねこなりに、一緒に暮らす人にできるだけのことをしてくれていのよねえ。いつも。



久しぶりに、本当に心から最高だ!と思った本に出会えて大変幸せでございます。


読み終えた後、涙が出てきてとまらない本でございました。


こういった感じは、白石一文さんの『一瞬の光』以来だと思うわ。



あとがきにもあったけど、この本をどうにかエピソードを抜いてオススメしようとしても、どこも抜きようが無いのです。ドゥドゥーシュ以外の一切を、未読の方にお教えしてはならないくらい、先のわからなさに意味のある本なのでございます。


是非、体験していただきたい物語でございます。



『その猫ラファコロゲリティ』





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